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「建崎君…やり過ぎよ…」
桜樹楓は憎悪と軽蔑を孕んだ目で僕を睨み付けた
「そうっすかね」
「私、貴方を正直怖いと思ったわよ…」
あれを間近で見て僕に恐怖しないのならきっとそいつは壊れている
「でもあれで彼を救ったのよね?」
「頭に来たからそんなの覚えてませんよ」
桜樹楓は肩をすくめた
「貴方はまず暴力によって彼を断罪すると共に彼を被害者に仕立てあげたのよね?」
「さあ…どうだか?」
「それと彼に重度のトラウマを植え付けて刃物を握れなくした」
「僕はそんなことしてませんよ」
僕は溜め息を吐いた
「僕は単純に刃物を使う奴を許せなかっただけですよ」
「他にやりかたは有ったと思うわ…」
「少なくとも僕には他のやり方が分かりませんでした」
「そう…」
僕はこれで風紀委員は御役御免だろう
そんな風に思っていたら桜樹楓は僕を真っ直ぐに見据え、言い放った
「貴方はまだ風紀委員よ…少なくともあと4日は来なさい」
彼女はそれだけ言って歩いて行った
僕が呆気に取られている間に桜樹楓は足音を鳴らしながら帰っていった
どうやらもうしばらくは風紀委員で居るしかないらしい。
ならばこの事件に決着を着けてみても面白いかもしれない
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