Chapter1 戦場の薫り

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「そうだな……」  国別に得意とする魔法系統。アメリカならば炎系、ドイツならば土石系、英国ならば水系と、その国の特色に合わせたものになる、らしい。  日本は無属性魔法の系統に比率が傾いている。特別、結界系統の質は他国と比べるまでもなく郡を抜いて一番だ。  結界とはそもそもが仏教用語。意識せずとも神道と仏教の信者である日本人ならば、深層意識の中にそれらの扱いが刻まれているのかもしれない。 「発動の準備だけはしておけ」 「はっ!」  故に、日本国内の軍事基地、重要拠点には結界が張られている。敵は夜叉だけでなく、多岐に渡るから。  福岡基地にも当然ある。  万が一に備えて、それを拡大する手段も一緒に。  だが、結界とは万能ではない。  範囲が広い分だけ、時間を掛けた分だけ、強力な分だけ解除するのに時間を要してしまう。  主にこれは日本の弱点。  他国からしてみれば、結界の強度が強すぎるのだ。まさに過ぎたるは及ばざるが如しである。  “迷っている暇はあまり無いな”  今にも左翼は壊滅しそうな状態。  右翼と正面はブレイド大隊のお陰で持ち直しているものの、元々危険水準に達していた左翼はもう見ていることも憚られるほど。 「……左翼の中隊の名前を言え」 「――シルバーファングです」 「全く。実力だけなら十二分なのだが、いかんせん我の強い奴らだからな」
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