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「――何故知っている? 」
「大抵知ってますよ。秋綴さんから直接聞きましたから」
いやでも解る。
きっと今、自分は酷く歪な笑みを浮かべているのだろうな、と。
「私が、貴様のような若造にか? 人違いだと思うがな」
「いえまぁ、秋綴さんではあるけれど貴女では無い。何しろ貴女はそれを認識していないから。あはは、何だか格調めいたものがあるな、これは」
思わず笑い声が出てしまった。
死んで復活、過去の自分へ。異常事態。把握限界。システムオールレッド。
誰か助けてくれ!
「…………」
「あぁ、冗談です。ふざけてごめんなさい。簡潔に言うと、秋綴さんは俺を拾いました。そして、現在頭打ちになっているMSSプランの実験体として“使った”んですよ。調べたら出た筈です。――俺と刻印の異常合致率が」
引き金に掛かった指を外さずに秋綴はボサボサ頭の男を見る。
彼は相変わらず言葉を発しないで首を縦に振った。
「少なくとも、貴様はそれを真実だと信じているわけか」
「洗脳でも無いですよ。そんな形跡ないって解ってますよね? 薬物反応も皆無。俺は至って正常です」
『――真性の妄想男ってのは有り得る話。ムッツリスケベ』
「言う通り、貴様と刻印の合致率はほぼ一〇〇%。有り得ない数値を叩き出した。技術所の奴らも驚いていた」
秋綴は銃口を向けたまま言う。
警戒を解くには至っていないということか。
「でしょうね。前もそれで狂喜乱舞した様を見ましたから。格好の実験サンプルが手に入ったとか言ってお祭り騒ぎだったんでしょ?」
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