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「…………」
驚きを表に出さないだけで、今の秋綴は内心揺れに揺れいている筈である。
皇国でも知る人の限られた極秘計画を知る男。
刻印と異常すぎる合致率を持つ馴れ馴れしい男。
一秒後に殺される現状でも平然と言葉を発する男。
“俺なら相手したくないな”
「未来人、とか言ったな? つまり未来には、時間超越装置が完成したのか?」
『原理的に不可能だと思うけど』
「いえ、完成してません。俺も本当によく解らないんですよ。夜叉に殺されたと思って眼が醒めたら、八年前の自分になっていたんですから」
進藤一樹本人も知らない理由。
他人に話せる訳がない。
秋綴の瞳が不審げに揺れた。
「つまり貴様は、今から八年後に夜叉に殺された。そして昔の自分に転生した。何故か身体付き、戦闘経験値、刻印もあるまま」
「そうなりま――」
肯定の声を、唐突な銃声が無慈悲に遮った。
右頬に走った熱さに顔をしかめる。
魔力で形成された銃弾は背後の壁にめり込んでいるだろう。見ずとも解る。銃口からは硝煙がゆらゆらと昇っていた。
“八年前のはオプションであったな、そういえば”
魔法革命以前の銃に似た仕様の物を求めるコレクターは多い。軍隊では犯罪者などの相手に対する目的で付けられているものも数多くある。
「嘘を吐くなら、そう思い込むのなら、もっと手の込んだ内容にすべきだったな」
頬から流れる血が顎を伝って床に落ちた。
瞬間、溜め息が溢れた。
「……はぁ、マジか。ああもう、はいはい解った解った解りました」
『――ん?』
「殺すならどうぞご勝手にしてくれよ。MSSプランも残り一年で開発断念、三ヶ月後福岡基地は壊滅、九州全滅、沖縄台湾陥落、極東防衛ライン崩壊、北海道に流れ込むシベリア共和国、落ちる本州、荒廃する大地、俺はもうそんなの見たくないんだよ。殺すなら一思いにやってくれ」
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