Chapter2 軍の在り方

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 “良かった……。怒ってるわけじゃないみたい”  ホッと胸を撫で下ろす。  最大の懸念事項は無事通過。  安心した秋葉は決められていたように立ち上がり、胸を張って敬礼した。 「昨夜、私、辻貝秋葉少尉が進藤少佐の副官として任ぜられました。以後ご教授よろしくお願い致します!」 「ああ、よろしく。しかし流石は秋綴司令。仕事早すぎだろ」  苦笑混じりの微笑みを浮かべ、進藤は手を下ろせと言った。朝から堅苦しいのは勘弁してくれ、とも。  秋葉は敬礼を止め、再び正座する。 「仕事が早い、とは?」  たった一日で副官を決めて配属させたなら、確かに仕事が早いと云えるだろう。  しかし、秋葉が疑問に感じたのはその部分でなく、彼がこの配属を取り乱さずに受け入れたことだ。  まるで、すぐにでも秋葉がやってくる、と予見しているような――。 「俺が指名したからな。お前を俺の副官にしてくれ、と。まさか昨日今日で副官にするのは驚きだが」  思わず眼を見開いて確認した。  「そ、そうなのですか!?」 「ん? 事実だぞ」 「ど、どうして(わたくし)なのでしょうか? もっと相応しい方が居られたと思いますが……」  この若さで少佐。強いのは昨日の件で知っているし、顔立ちも悪くない――むしろカッコいいと評すべき端整な容姿をしている。  正直つりあっていないと思った。 「ほら、俺は若造だろ? いきなり歳上の人間を副官に付けても、どっちも不愉快になるだけだし」
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