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「わ、若造などとは……」
「だって俺、お前と同い年だぞ?」
「――――」
絶句した。
若いと思っていたが、まさか秋葉と同い年――一八歳だとは予想だにしていなかった。
せめて二十歳以上だと高を括っていたというのに。
「それにお前、訓練とは云え歴代最高点を叩き出したんだろ? 俺と同い年だし、ちょうどいいと思ってたんだが」
嫌だったら断ってくれても構わないぞ、と付け加えられ、秋葉は大慌てで首を横に振った。
取れるんじゃないかと危惧してしまうぐらいに思いっきり。
「い、いえ! 少佐ほどの方にそのような評価を戴き、至極恭悦に御座いますッ! ……ただ、その……お役に立てるかどうか――」
昨日の失態を思い出すと、自然に項垂れてしまう。
周りを馬鹿にして、先達の努力を否定して、調子に乗りまくった結果があの様では落ち込まずしてどうするのだ。
“気まずいなぁ”
投影機械を動かす技術者の冷めた視線を思い浮かべて、上官の前だというのに落ち込んでしまう秋葉の頭にポンと手が乗った。
「昨日のことならそう気にするな」
「しょ、少佐?」
「昨日が初めての実戦だったんだろ?」
コクりと頷くと、彼は笑った。
どこまでも包み込むような笑みだった。
「ならいつまでも落ち込むな。初陣は大抵あんなものだ。俺なんて夜叉を前に逃げ出したぐらいだからな」
「少佐が……ですか?」
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