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食堂へ案内するため先導している辻貝秋葉の後ろ姿を眺めながら、進藤はこれでいいんだと無理矢理自分を納得させていた。
“お友達感覚が通用するのは高等学校までだ”
軍隊では階級がものを言う。
我を通したければ上へ行け。
嫌いな上官がいるのなら、その上へ行け。
部下と絶え間なくフレンドリーに接していられるのなら、勿論それが最も良い関係だと思う。
しかし、まだ十八歳の若造である進藤がそうしていれば、最悪の場合だと軍規や士気にも影響してくる。
そもそも周囲に示しがつかない。
進藤本人に難癖付けてくる輩はそうそう居ないと思うが、上官に対し軽々しく接していた部下へその矛先は向くだろう。
未来で何度も経験したこと。
“結局、最後は秋葉と話し合って公私の区別を絶対規則にしたんだよな”
減り張りを付ける。
公私の区別を明確にする。
部隊内に於いても、違う基地に赴いても、軍人である最低限の条件を厳しくした。
結果、表立って嘗められることは無くなったのだから正解を引き当てたと云える。
「どうかしましたか、少佐」
いつまでも無言な進藤に恐れを抱いたのか、秋葉は立ち止まり、不安げに見つめてきた。
いや、と首を横に振る。
「すまない、福岡基地の大きさに改めて圧倒されただけだ」
「そうですか。最前線基地ですからね、ここは。――昨日まで弛んでいましたけど」
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