Chapter2 軍の在り方

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 簡潔に言い放たれた台詞。無視は許さない、そんな威圧感が込められていた。  進藤は了解しました、と首を縦に振る。 「それでは対策を立てましょう。俺が未来から得た夜叉との戦い方を参考にして」 「ああ、最早それしか打開策は無いからな」  三ヶ月後に迫る夜叉との戦い。予測だが、総勢二十万を越す大軍と対峙するのだ。  只でさえ、昨日の戦いで損なわれた人材や装備。物量で対抗するには些か分が悪いと云える。 「中央参謀司令部は何と言ってきましたか?」 「取り合えず、四国に配置してある機甲連隊を二つ回してくれるそうだ。武芸士の方も四国と岩国基地の方から。だが、やはり厳しいな」  進藤は唇を噛み締めた。 「ミサイルはどうなりました? 単純な飽和攻撃さえ出来れば――」 「ミサイルや魔法砲撃部隊は朝鮮半島に対してだけで精一杯らしい。向こうも悲惨なようだ。最早山や川が影も形も無く更地になっていると聞く」 「つまり回せない、か。成る程、中央参謀司令部は取り合えず本州だけでも防ごうって腹積もりですか」  帝都である東京、副帝都である京都が存在するのだから、中央参謀司令部 の判断は間違っていない。  しかし、これでは――。 「予備のミサイルとそれを扱う部隊はどれだけ残っていますか?」 「今かき集めれば、二千発と言ったぐらいか。部隊は健在だ。クラスター爆弾は昨日使ってしまったからな。今から基地内部のラインで造っても、三ヶ月後によくて二桁だろう」  二千発あると云ってもそれらのほとんどは、虚空夜叉によって管理されている迎撃システムによって七割以上が撃ち落とされてしまう。  通常の航空戦力に対しても同じことが言える。 「……やっぱり火力が足りなすぎるな」
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