Chapter2 軍の在り方

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「大急ぎで試算させた。三ヶ月後に配置できるのは、機甲師団が一つと武芸士の連隊が六つ、急ピッチで製造させてもミサイルは三千発が限度、バンカークラスターは三十発程度と言ったところだ」  つまり、県境に防衛ラインを三本引いて、機甲師団を三つに分散しつつ、その護衛としてそれぞれ武芸士の部隊を二連隊ずつ傍に置いて防衛開始、後はミサイルなどの面制圧飽和攻撃に切り替える、と。  思わず苦笑してしまう。 「無理ですね。おそらく一日ももたずに戦線の一部が瓦解してしまうでしょう。後はなし崩し的に崩壊してしまう」 「ああ。只でさえ、この基地の空気は弛んでいた。練度の高い兵士が少ない。今朝は違っていたようだがな」  今さら後悔しても遅いな、と秋綴は嘆息した。 「地域汚染さえ考慮しなければどうにかなるんですが……」 「無理だろう。核アレルギーのある日本だ。欧米はそれで乗りきったようだがな」  魔法革命と同時に世界中で突如出現した夜叉は、その圧倒的とも云える戦闘能力故に、瞬く間に発展途上国や第三次世界大戦で疲弊していた先進国の国土を奪った。  アメリカを始めとした核保有国は国土を代償にして、核の光で焼き払ったのだけど。  戦勝国でありながらも、インドは奪われた国土の大きさが原因で、日本は核を持っていなかったことが原因で未だに国内から夜叉を殲滅できていない。  当然、中国大陸から東シナ海を渡る夜叉の増援のせいでもあるのだけど。 「まぁ、まだ手は有りますよ」
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