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「ほう」
『――早くオシエロ!』
「……お前、いつからいたの?」
気付けば、ソファに腰掛けているボサボサ頭の男がいた。みすぼらしいTシャツの上に白衣を着ている。
似合っているのが腹立たしい。
「紫音に関して謎に思うだけ無駄だぞ。コイツはある意味化け物だ」
『――化け物は心外だよ』
そもそも何時の間にパソコンを執務室の上に置いたのだろう。秋綴と進藤が見えやすいよう、ディスプレイは横向きに設置してある。
「……そうします。それで、先ず俺が技術所の方で造ってもらいたいのは『飛行挺』です」
「飛行挺? そんなものを造ってどうするのだ? それならまだ既存の爆撃機を使い、決死覚悟で絨毯爆撃でもした方が良いだろうに」
「ただの飛行挺じゃないです。何て言えばいいんだろ……。紫音、お前は昨日、刻印以外にもほぼ全般的に技術を持ってるって言ったよな?」
『――それが?』
「例えばだ、俺の魔法刻印と連動して防御壁を張れる飛行挺を造れそうか?」
「――!」
秋綴が眼を見開いた。
猫背になっていたのを戻し、ピンと張り積めた背格好のまま顎に手を添えた。
「成る程。今の技術では完全に夜叉の迎撃魔法を防ぐ航空戦力は存在しない。ジェット戦闘機は言うに及ばず、機体の周りに結界を張るにもいかない上に、魔法を相殺するのも困難だから。――だが、それらをコンピューターと刻印に任せてしまえば……」
『――造れるよ、たぶん。お前の刻印は既に解析済み』
「それはいつだ!?」
秋綴が声を荒げて問う。
だが――。
『――半年後』
無慈悲な文字列がディスプレイに映った。
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