Chapter2 軍の在り方

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「……ちっ、間に合わないか」  秋綴が失望のため息を漏らす。 「いや、それは福岡基地だけで製造した場合だろ? おまけにちゃんと試験してさ」 『――当たり前。検証せずに実戦配備する兵器なんて存在しない』  議論し、検証し、予算を通して、製造し、試験し、訓練して、漸く新しい兵器は実戦に投入される。これらのプロセスを辿れば、どんなに早くても半年から一年は掛かるだろう。  そんなもの、進藤だって知っている。  だから言う。 「検証も試験もしなくていい。ぶっつけ本番で構わない。それだったら間に合うだろ」 『――難しい。でも、源本を巻き込めば行けるかな』 「源本様たちを巻き込むのか? それは――」  秋綴が下唇を噛んだ。  悔しさの証か、僅かに血が滲んでいる。  秋綴家は大大名である源本家の分家に当たる存在。その思い入れは深く強く、未来で九州陥落と同時に現当主が戦死した時、彼女は詫びのつもりで切腹しようとしたぐらいだ。  “心苦しいのは解るけどな” 『――けど、源本は今……』 「源本様たちは現在、九州東部の治安維持にも力を当てておられる。そうそう協力してもらえるだろうか」 「それにも考えがあります」  軍服の胸ポケットに隠していた設計図を机に置いて、秋綴に見えるよう開いた。 「これは……?」 『――塔?』  パソコンに着いているカメラから見たのだろう。紫音の文字が全てを現している。 「そう、これから五年後にトルコ戦線に投入される戦略魔法兵器、城砕螺旋だ」
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