Chapter2 軍の在り方

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『――それに、ミサイルなんかの迎撃も無くなる』 「そこが最大のポイントだな。虚空夜叉を殲滅して、ミサイルやクラスター爆弾で薙ぎ払う。そうなれば勝ちはほとんど決まったようなものです」 「――凄いな。それでどの程度は戦果をあげたのだ?」 「ネストを三つほど破壊できましたよ。京都と新潟、青森のを。一時だけでしたけど、それで全体の防衛線が押し上げられました」  三つだけなのか、と神妙に呟く秋綴。  確かに多くの部隊に配備された結果、その戦果なら微妙すぎるだろうけれど。 「それ、全部俺がしたんですよ? というか、俺にしか無理でしたからね」 「全部貴様が壊したのか!?」 『――わーお』 「さっき言った条件ですよ。超精鋭部隊は全員刻印を保持していなければならない。部隊長は刻印合致率八割を超えていなければならない。部隊の数は最大七名まで。この三つが適合する部隊は俺の部隊だけでしたからね」  本当に厳しすぎる条件だ。  部隊の数と全員刻印を保持するのは何とかなるにしても、刻印合致率が八割を越えたのは瑞希と進藤だけだった。 「何故、その三つなんだ?」 「刻印には他の刻印保持者と繋がれるリンク機能があるんです。例えば、離れていても俺から秋綴さんに直接魔力を供給できます。渡す方の合致率が八割を超えていないと無理ですけどね」 『――数に限りがあるのはリンク機能の限界数?』 「合致率が高ければ高いほどリンク機能の限界数は増える、らしい。俺も詳しくは知らないけど。俺でも最大で六人までだし」  技術者の連中の狂喜じみた笑い声を思い出して、思わず肩を竦めてしまった。  当然部隊の数は多ければ多いほど良いのだけど、限界があるのはもう一つ理由があるのだ。 「敵の優先目標から逃れるためって理由もある」
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