Chapter2 軍の在り方

24/36
前へ
/85ページ
次へ
『――確か、七名以下なら優先目標にされないんだっけ?』  無論、戦闘行為を起こせば優先目標となる。ある一定数の夜叉はネストへ引き返してくるだろう。  しかし、地面やネストを移動するだけなら、優先目標とみなされる事はない。 「つまり、貴様が虚空夜叉を叩きに行くということか。前線の部隊を囮にして」 「囮っていうよりも、陽動ですよ。出来る限り、ネストから引き離してもらえれば、それだけ虚空夜叉と戦える時間が伸びますし」  引き返してきた夜叉と戦いながら虚空夜叉を殲滅できる訳がない。彼らを倒すだけでもいっぱいいっぱいだと云うのに。  だから、前線部隊に暴れまくってもらい、その隙にネストへ侵入、短期間で虚空夜叉を倒し、無事脱出するのが空挺降下部隊に課せられた任務である。 「それが出来れば、九州から夜叉を殲滅できるな。――飛行挺、か」  揺れに揺れる秋綴の心境。  誇りを取るか、結果を求めるか。  どちらにしても進藤の取る道は一つだけ。戦うことしかできない兵士の末路は大抵そんなものだ。 『――ボクは今から設計に移るよ』 「飛行挺の設計図も大まかにだが書いてきておいたぞ」  再び紙を取り出して、紫音に手渡す。昨日と変わりなく酷い顔色。隈も凄い。目の下が真っ黒になっている。  秋綴は背凭れに体重を乗せて、 「ふむ、方向性は見えてきたのは行幸だ。しかし、最後にもう一つ答えろ、一樹。貴様と瑞希様、未来でどういう関係だったんだ?」 「どうって……恋人でしたけど」  もしかして言ってませんでしたっけ、と頬を掻いた進藤の胸ぐらを掴む秋綴は、早業と云える速度で銃口を少佐の喉元に突き付けた。 「やはり……殺すか」 「何で!?」
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

361人が本棚に入れています
本棚に追加