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午前九時三七分。
基地内が色々と動き出した頃、シルバーファング部隊に割り当てられたブリーフィングルームに六人の姿があった。
「しっかしさー、何だってこんな朝から集められないと行けないんだよマジで。やってらんねーよ」
「そう言うなっての。早く部隊の建て直しとかする腹なんだろ、上の奴らはさ」
椅子に座り、机に足を乗せながら文句を口にする青髪の男に、黒髪の男が立ったまま苦笑い気味に諌めた。
どちらも尉官の軍服を着用。
前者は着崩しているが、後者は真面目な性格が幸いしてしっかりと着こなしている。
「おい、秋葉。新しい隊長ってどんな奴?」
「どのみちもうすぐ来るのよ。説明するだけ無駄だと思うけど。それとクレイス、隊長は非常に軍規に厳しいお方だから気を付けた方がいいわよ」
頭の後ろで手を組み、クレイスは部屋中に反射するような高笑いをあげた。
「なんだ、そりゃ。シルバーファング部隊を嘗めてんな、ソイツ。この部隊じゃ強いほど発言力があるの知らねぇのか」
「……はぁ、お前なぁ」
黒髪の男が頭を掻く。どうやってこの馬鹿を止めようか悩んでいるのだろう。
“まぁ、修正されればいいのよ”
「……だが辻貝、貴様は隊長の副官に命じられたのだろう? シルバーファングのそういう部分を説明しなかったのか?」
桃色に近い髪をツインテールにした女性が尋ねた。この部屋で二番目に長い軍歴を持つ人物であり、近々大尉に昇格すると噂の中尉である。
「いえ、リュンゲル中尉。隊長は会った時の空気でその部隊がどんなものなのか解ると仰られました」
「ほう、それは楽しみだな。どれだけの修羅場を潜り抜けた兵士なのかアタシも興味が湧いてきた」
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