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「少佐!」
朝と変わらない黒い軍服。胸に付けてある階級章は少佐を示し、腰には皇国軍人の佐官として軍刀を所持し、見るからに厳かな空気を纏っている。
秋葉の声と共に、他の五人も進藤へ視線を移した。
年齢と階級のギャップに驚愕しつつも、即座にアーリャが号令を掛けた。
「敬礼!」
『――――ッ!』
全員が立ち上がり、敬礼する。軍人として叩き込まれたことが反射的に身体を動かしたと言って差し支えないだろう。
進藤が答礼し、座れと言った。
「先ずは自己紹介だ。今朝付けでシルバーファング部隊の新隊長に任ぜられた進藤一樹少佐だ。以後、よろしく頼む」
『…………』
まさか、と皆が驚いている。
シルバーファングの面々は他の部隊と比べて平均年齢が著しく若い。
前の隊長も二五歳で、最年長ですら三〇歳越えていなかったぐらいである。
“それはそうなるわよね”
「返事はどうした!?」
『――は! 申し訳ありません!』
「辻貝少尉、一人ずつ紹介させろ。後、これからは号令も貴様の役目だ。俺の副官だろうが。――そもそも上官に言われる前に名乗らせろ」
「は、はい! では、凍坂少尉から――」
眼が合ったことを幸いに、部隊内でも数少ない良識を持った男で日本人を生け贄にした。
凍坂は怨めしそうな感情を表に出さず、
「シルバーファング部隊所属、凍坂大護少尉であります! 得意な武器は――」
「その辺はデータを見て知っている。名前だけでいい」
「は、はい」
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