Chapter2 軍の在り方

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 程度の違いがあれ、アーリャの台詞からも解るように、シルバーファング部隊の面々は強さこそ絶対という固定観念を持っている。  死んだのは弱いから。  だから悲しまない。  いや、むしろ蔑んでいる。  戦死したお前たちのせいで、自分たちまで周りから弱くみられてしまうじゃないか、と。 「――そうか。貴様らの考えはよく解った。だからこそ言わせてもらおう」  一息。 「そのままだと三ヶ月後に必ず死ぬぞ、貴様ら」 「な、何を――」 「俺が部隊長となったんだ。楽な任務が与えられると思うな。貴様らは試作兵器の実験体とならざるを得ないのだから」 『――――!?』  普段からマイペースで知られるユリアとドーダスもビクッと身体を震わせた。  発言の内容もそうだけど、それが決して嘘ではないと本能で察したからだろう。  秋葉は恐る恐る尋ねた。 「少佐……それはどういうことなのでしょうか?」 「詳しくは話せない。極限られた人間しか知らない機密だからな。だが一つ確かなのは、三ヶ月後、今のままでは確実にシルバーファングは全滅する」 「……どうして、死ぬの……?」 「ブリメール少尉、上官に対してため口とはいい度胸だな」 「申し訳ありません。彼女は普段からこうでして。しかし、自分も同じ疑問であります」  ドーダスがすぐに庇う。  剣呑な空気を感じ取ったからか。  進藤は一呼吸して、 「三ヶ月後に行われる予定の任務は大変過酷なものとなる上に、おそらく世界初の試みだ。成功には仲間との連携が必須となる」
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