Chapter2 軍の在り方

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「仲間との連携……?」  クレイスが鸚鵡返しする。  数瞬呆けたが、彼は途端に哄笑した。  進藤を上官と見ていないのは明白で、いつ殴られてもおかしくない行動なのに、クレイスは机を掌で叩きながら爆笑した。 「あははははは! あー、痛ェ、腹が痛ェ! あはは、もう、何だよ仲間との連携って! バッカみてぇ! あはははははは、オレたちにそんなもん必要ないって何回言えばいいんすかッ?」 「こら、エルメロイ少尉。上官を馬鹿にするでない」  珍しくアーリャがたしなめるものの、彼女の美貌にもハッキリと嘲るものが浮き出ていた。  秋葉がこっそりと全員の表情を確認する。  クレイスとアーリャは勿論、ドーダスと凍坂も複雑そうなそれで、ユリアだけがボーッと進藤を眺めていた。  それぞれの反応に対し、進藤はこれ見よがしとばかりに溜め息を吐いた。 「はぁ。だから言ったんだ。こんな奴らでは無理だってな。こんなに弱い連中じゃ」  独り言のようなそれを、クレイスは聞き逃さなかった。 「弱い……? では少佐殿。一つ提案があります。進言よろしいでありましょうか?」 「構わんぞ」 「ありがとうございます」  クレイスはニヤニヤと厭らしい笑みのまま、 「オレたちを弱いと仰るのなら勝負をしましょう。投影機械を用いた模擬戦闘を」 「理由は?」 「オレたちの誰かが勝ったら隊長を降りてください。シルバーファングに『腰抜け』は必要ないですから」 「エルメロイ少尉。貴様、佐官に対して何たる物言いだッ!」  命の恩人を馬鹿にされた怒りから立ち上がったのだけど、進藤が片手で秋葉を制止させた。 「いいだろう。だが、俺が勝ったら貴様ら全員同じ部屋で寝泊まりさせるからな」 「ええ、どうぞ。負ける気なんてしませんけどね」
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