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“正直、期待外れだったな”
ブリーフィングを終え、45式強化戦闘服に着替えたアーリャ・リュンゲルは素直にそう思った。
秋葉やユリアと共に投影室へ向かいながら、小さく吐息を洩らす。
今現在着ている青と黒を基調とした、皮膚そのものに張り付いてくるような強化戦闘服は、例え投影機械を用いた訓練でも必ず着ていなければならない。
初期は宇宙服に近い様相だった戦闘服も、今や細く、かさばらない程にスリム化している。
トップ武芸士ともなればオーダーメイドで強化戦闘服をカスタムすることもあるらしい。
例えば背中に何丁も魔力銃を備え付けた翼を着けるとか、上腕部に細かく収納された剣や銃が戦闘時には使えるようになるとか、まさに多種多様である。
しかし、これらは強化戦闘服を造る企業や国家に認められた、極々限られた人間にしか与えられない、即ちエリートの証。
“アタシは絶対に無理って解ってるけどな”
羨ましくないと云えば嘘になる。
無論、各武芸士に配布される45式強化戦闘服に不満があるわけではない。
だが、オーダーメイド物はやはり憧れる。
自分のためだけに多くの人間が丹精込めて造ったものだと思うと、訓練に於いても実戦に於いてもその喜びは筆舌にし難いだろう。
“いや、そんなこと考えても仕方無いな”
ふぅ。呼気を吐き出す。
問題は、今から行われる模擬戦だ。
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