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「じゃあ、かつらとっていいか?ていうか、とる」
「えっ…?まっ…あ」
止める間もなく、葉月くんは僕のかつらと眼鏡をとってしまった。
強制的に素顔を晒すことになってしまった僕は、恥ずかしさのあまり俯いた。
しかし、それを葉月くんは許してはくれず、顎を持ち上げられ葉月くんの方を向かされた。
「は、づき…くん。恥ずかしいよ…。かつらと眼鏡返して…?」
「…っ!!」
顔を真っ赤にして言った僕に対して、葉月くんもなぜか顔を真っ赤にした。
「葉月くん…?」
「…」
一向に何も喋ってくれない葉月くん。どうしようかと思っていたら、ようやく葉月くんが口を開いた。
「由樹…可愛いからずっと見てたい気もするけど、他の誰かに見られるのも嫌だしかつらと眼鏡返す。その代わり、俺以外に素顔見せるなよ」
「え?あ、うん。分かった」
「あと、葉月くんじゃなくて葉月でいいから。ていうか葉月って呼んで」
「え…?は、葉月…?」
今日が初対面だし、やっぱりちょっと照れ臭かったけど呼び捨てで葉月の名を呼ぶと、葉月は嬉しそうに笑った。
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