序章~出会い~

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まったく、朝から変な夢を見てしまった。 これから、もっと最悪なことがあると言うのに。 「はぁ」 思わずため息を付いてしまう。 いつものように寝癖一つないまっすぐな髪。 私はこの髪が大嫌い。 どこに行っても 「王妃様によく似ておられますね」 と言われるからだ。 銀狼のような、銀色の髪。 姫カットに整えられている銀色の髪はコンプレックスの一つ。   「姫様、朝食のお時間にございます」 こんな風に侍女が私を呼びに来る。 「今行くわ」 私がこう言えば、侍女は一礼して部屋を出て行く。 いい加減止めてもらいたい。 私は自由になりたい。 友達も恋も自由にしたい。   でも、そんなことは夢のまた夢。 なぜなら、私が一国の第二王女だから。 王女と言えば、自由を想像するはず。 でも、実際は違う。 お父様とお母様が認めなければ、何をすることも許されない。   私の父はヨーロッパにある一国の王。 家族はそっちに住んでいる。 変わって私は、日本に留学するためにひとりで来ている。 このことを決めたのも、両親だ。 日本一の私立高等学校 『桜華学園』 ここには、世界中から私のような人が集まる。 私がここに入れられたのは、ただの気まぐれに過ぎない。 まぁ、私が口出ししても意味がない事だから。
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