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「あ、え?
………なっ」
かあぁーっ、と一気に耳まで真っ赤に染め上げていく瀬那君。
彼にとってあの出来事は、ちょっとした羞恥点なのか。
右手で口元を隠し、僅かに瞳を揺らしながらも、紅潮する顔を必死に誤魔化していた。
「瀬那君、可愛い」
「……っ!
……う、るせっ」
「ハハ。
顔真っ赤だよ、瀬那君。
照れてるの、やっぱり可愛い」
「……その口、塞がれたいの」
「へっ、わっ、ごごごごめんなさいっ」
すっ、とさり気なく伸びてきて引き寄せてくる瀬那君の腕に慌てて謝ると、彼はようやくニッと小さく微笑んだ。
だけど、ちょっとからかい過ぎたのか。
「だめ、許さない」
ぐっ、と急に近付いた彼の顔が、小さく傾いて。
小さな音を立てながら、私の唇に甘く噛みついた。
「……んっ……」
「声、出さない。
また、あの図書委員に邪魔、されるだろ」
腰を抱き寄せて、ゼロ距離で唇を合わせる瀬那君。
僅かに離れた時に漏れる声が熱くて、またその熱にあてられて理性が揺らぐ。
必死に瀬那君のワイシャツにしがみついて崩れ落ちそうなのを堪えるが、深く交わる唇に感覚が痺れて体が言うことを聞かなくなっていた。
瀬那君は最後に、ちゅっ、と私にしか聞こえない程度にリップ音を鳴らし、下唇を啄んで唇を離した。
だけど、顔は鼻の頭が触れるほどの至近距離を保ったままで、彼の瞳にはとろんとした顔の私が映っている。
うわぁ、恥ずかしい……私ってば、なんて顔、してるの……っ。
「……ふ。真っ赤。
チカ、かわい」
「……っ」
「これに懲りたら、人のことからかわない」
「……い、いじわ、る……っ」
「でも、好きだろ?」
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