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私が中学生だった頃。
携帯へ掛かってきた、非通知からの着信。
「……誰からだろ?」
私が電話番号を教えて、確認の為に掛けてくれた人かもしれない。
そう思って、私は恐る恐るその電話に出た。
「もしもし? どちら様ですか?」
《……もしもし。えっと。
た、タカハシさんの携帯やろか?》
「え? え、えっと……すみません、人違いです」
特徴的な、イントネーションの違う、やや高めの男の子の声。
私がおろおろしながら間違いだと告げると、向こうは黙りこくってしまった。
間違い電話だろうな、と思って通話を切ろうとした時。
それを察したのか、慌てたように言葉を繋げてきた。
《ま、待って!》
顔も名前も知らない、方言が特徴的な彼。
焦ったような彼の声に、私は思わず手を止めてしまった。
―――この電話が、数年後の私の人生を大きく変えることになった。
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