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出会いの季節、春。
三年生は卒業していき、新たに一年生が学校へ入ってくる。
数週間前には先輩達と涙の別れをした生徒達は、新一年生の歓迎で浮かれながらも大忙しである。
学校の中に、新たな風が舞い込んでくるのだ。
良くも悪くも、私達を取り囲む環境はめまぐるしく変わっていく。
新入生の為に開かれたオリエンテーションの最中、二年生に進級した私は暇を持て余していた。
本来なら帰宅するか部活に向かうかしている時間帯だけど、生憎部活も休みで家に帰るのも何だか勿体なく思えて。
特に意味もなく、中庭の桜を眺めながら、ぼんやりと廊下を歩いていた。
そんな中で立ち寄った、人気のない図書室。
こうやってたまに足を運んでは、面白い本はないかと発掘にきている。
僅かに開けられた窓からは春の風が流れ込んで、日焼けした白いカーテンを静かに揺らす。
風に乗って飛んできたらしい桜の花びらが、図書室の奥へと吸い込まれるように舞っていく。
それにつられるように本棚が入り組んだ方へと向かうと、其処には人の気配があった。
図書委員がしまい忘れた本の山の隙間から、整った顔立ちの少年の姿が見えて。
思わず見惚れていた私は、次の瞬間。
彼の発した言葉に、心を奪われることになる。
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