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「おい、あいつ確か新入生テストで学年一位になった奴だろ?」
「そうそう。副会長抜いて一位になるとかすごいよなー」
俺が廊下を歩くたびにこんな会話が聞こえてくる。
俺は成田賢吾。小中高一貫校のこの天津森学園に高校から入学してきた。この学校は全寮制の金持ち男子校である。
何故この学校にこんな平凡な一般人のヤツがいるのか。その理由は自分の母親がこの学園の理事長と仲が良かったからである。
よくわからないが母親が手回しをして、俺がこの学園に入るハメになってしまった。
しかしこの学園のバカみたいに高い授業料を免除してもらうために俺はつねに学年首席にならなければならない。
で、一位取ったらなんか悪目立ちして今の状態に至ったというわけである。
というかテストって1ヶ月も前のはなしだぞ。
どんだけ引きずってんだ。
「でもさー、あいつ見た目アレだよなw」
「確かにw なんか髪ボサボサだしメガネだし、いかにもガリ勉って感じだよな」
おい。陰口は影で言ってくれ。地味に傷つくだろうが。
心の中で嘆きながら俺は他人の声を背に寮へと帰って行った。
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