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朝。
俺は机の中に携帯を忘れるという失態をおかしていた。
メールなんかほとんどこないけどな。
さすがに家族からの急な連絡が入っていたらいけないと思い、普段より早く学校へ向かった。
この学園は寮の敷地を含めてバカみたいにでかい。
だから寮から校舎まで行くのにもかなりの時間を要する。
そんなわけでかなり早く寮を出たのだ。
ドサッ
正門の近くを歩いていたら、新人の引っ越し業者が間違って荷物を落としたみたいな音が聞こえた。
音の正体を知るべく、俺は音の出所の方向へ首を向ける。いわゆる反射ってやつだ。
変なマリモみたいな風体のやつが尻餅をついていた。
俺は状況が全く飲み込めずそいつを呆然とした表情で見ていた。
「痛って…あ、おーい!!そこのお前ー!!」
やばい。気づかれた。
初対面でお前とかいうやつは不良かめんどくさそうなやつだけだ。
俺は面倒事をさけるべく聞こえていないふりをして校舎まで猛ダッシュを決め込もうとした。
「お前だよ!!お前!!眼鏡かけてて髪ボサボサのお前!!」
見たところお前も俺みたいなんだがな。
もう俺は無視することは不可能になった。
最小限の言葉数でどう切り抜くか考えていたそのときだ。
後ろから誰かの気配がした。
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