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~眠らない街~
どこから狂ってしまったんかな?
こんな筈じゃなかった?
どうなんやろ?
こんなもんなんかな?
俺はこんなネオンの街に馴染むような男じゃなかったはずや。
だけど、人ちゅうんは不思議なもんで、環境に慣れることができるんや。
いろんな欲望が詰まった街に俺はおった。
俺の名前は田中 修司や。
主人公にしては、なんともありきたりな名前やとは自分でも思うけど、名前なんかは関係ないで。
ありきたりな名前やけどそれなりにいろいろあるんやで?
いろいろあって今に至ると、細かい話は端折っとくけどな。
とにかく俺はいつものようにキャッチに出かけた。
営利目的のナンパとも言えるな。
そこにはいろんな女がおった。
仕事帰りのOL、遊びまわっている学生、なんかよおわからんけど毎日見かける奴もおったな。やたらと気軽に話しかけてくるおもろい奴やったりするねんけど、こういう手合いは金にならんから適当にあしらった。
女が一人でビルの階段に座り込んでいるのを見かけ、「おっ!」と思ってはなしかけてみたら、「薬、いる?」やって。
普通にこんな奴が、壁一枚隔てのない空間に、何の違和感もなく存在してるんやから面白い。
まじめに夜の仕事に没頭しようなんて思ってはなかったけど、そんな生活も楽しかったし、女に不自由せず生きて
られた。
先のことなんかこれっぽちも考えてなかったな。
仲間と毎日騒ぎ、女遊びをし、適当に金を巻き上げてはまた遊び。
俺スタイル。
なんて粋がってたな。
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