~眠らない街~

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仕事終わりやし、かなり飲んでるからね・・・ まあしゃあないか。 「わかりました。」 と電話を受け取る。 そして、俺は「もしもし」とスタンダードに切り出す。 「なんじゃおまえは!ええ加減にせえよおまえら!」 と向こうは相当、興奮気味やった。 俺はそのテンションには応じず 「君はどこのものなんだい?」 と軽くおちょくった感じで切り返す。 すると相手は、 「われ!おちょくっとんのかい!」 とオーソドックスな粋がりパターンできやがった。 ああ、なんとボキャブラリーに欠けるチンピラ野郎なんやー。 「あなた口悪いですね。」 と至って普通に言うたった。 それでも相手はただ怒鳴るだけで話にならない。 俺はごくごく冷静に、 「困りましたね・・・とりあえずどこに居てるか教えてください。」 「そこはどこですか?」 「そこどこ?」 「どこなん?」 と声のトーンを少しずつ下げて言葉も短くしていく。 するとだんだん相手の声に勢いがなくなって来たように感じた。 今までにない切り返しに戸惑ってるんやろか? でもそろそろ俺、めんどくさなってきたんやけどなー。 しゃあないから、電話の相手に聞こえる声で「秀さん!こいつの居場所わかりましたよ!周りの音、聞き覚えあり ますわ!」 といってやった。 もちろんわかるわけないけどね。 もうええやろ?軽くハッタリかまして終わりにしましょうよーって感じやったね。
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