第一章 嵐の前のティータイム

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「・・・ここは中村健太少将のお部屋でしょうか?」 「誰だ?」  ドアを開けるとウィッチと思われる扶桑人の娘が立っていた。身長は低めで、健康そうな黒髪を肩のあたりでナチュラルに切ってある。服装は海軍が支給している、ボディスーツとセーラー服か。 「はい!扶桑海軍呉軍港防空隊に所属していました、飯田藤花、上等飛行兵曹です!」 「ああ、51JFSQのメンバーか。俺は元予備役中佐で、今は少将の中村健太だ。」  藤花は敬礼しているが、健太はあくびをかみ殺している。 「あ、はは。上官が失礼しました。俺は沼沢隆、一等飛行兵曹です。」  代わりに隆が丁寧な対応をする。 「え?はあ?」  藤花は状況があまりつかめていないようだ。 「この人は多分連合軍一の自由人間ですから。」 「自由人間とはなんだ。」 「いてっ。」 「え?」  隆の無駄な補足に健太がツッコミをいれる。それで藤花は余計戸惑う。 「・・・飯田上飛曹。」 「はい?」 「キミが混乱しているのは、俺のこの歳か?」 「え!?」  健太は急にまじめな顔をして問いかける。藤花は図星だったようで、驚いたような表情になった。 「まあ、初対面ならそう思うはずさ。ウィッチでもない10代の少年が、少将のポストにおさまっている。」  健太は立ち上がって藤花のもとへと歩いていく。 「他のメンバーが集まってから、と思っていたが、お前には今教えてやろう。」  健太は不適な笑みを浮かべる。隆はそれを見て苦笑いし、藤花はただ後退りした。
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