プロローグ

3/3
前へ
/40ページ
次へ
幕間 扶桑海軍軍令部 発 第一部部長 佐伯義房 大佐 宛 扶桑海軍予備役中佐 中村健太 殿 新部隊開設ニ伴イ、現役復帰ヲ命令ス。 「これでよろしいのですか?」  先月軍令部に配属されたばかりの大尉が自身の上官二人に電文の内容を見せる。ひどく短い文章だ。どのような部隊なのかすら書いていない。これではあまりにも中村予備役中佐が不憫だ。 「どうですか?」  上官の一人、大佐の階級章を付けた壮年の男が、もう片方の中将の階級章を付けた男に問う。 「機密事項に対して送る電文としては、単純でいいものだ。大尉、そのまま送れ。」 「りょ、了解しました。」  大尉は無線機を操作し電文を送信した。疑問は山積みだ。一介の予備役中佐ごときに、軍令部第一部部長の名で直接辞令を送る。さらに、いくら高級将校とはいえ、個人が軍令部の電文を受信できるような無線機を持っているはずが無い。しかし、送信先の周波数は聞いたことも無いようなものだった・・・。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加