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また大きく移動して、今度は太平洋の中心、リベリオン海軍の要衝、ハワイである。
「・・・ウェルズ大尉、ウェルズ大尉、至急作戦司令室に出頭せよ。」
「え?隊長、何かしでかしたんですか?」
空母ワスプ艦内の居住区で、一人のウィッチが上官のウィッチに声をかける。
「いや、何にも。」
呼び出された当人は心当たりがないと言う風に頭を掻いている。
「早めに行った方がいいかな?」
「ですよね。それではまた。」
部下のウィッチは雑誌や新聞を畳んで去っていく。上官の方も頭の上に疑問符をたくさん浮かべて、作戦司令室へと向かった。
「ステラ・ヴァネッサ・ウェルズ大尉、ただいま出頭しました。」
ドアノックと共に名乗る。しかし、ドアの向こうは静かなままだ。
「・・・ぶ、わっはっはっは!は、入れ!うくくくくく!」
しばらくしてから大きな笑い声と共に、入室を許可する声が聞こえた。
「艦長、さっきの呼び出し方はなかなか面白かったぞ。」
「ええ、まあ・・・。ああ、大尉、こちらに来たまえ。」
艦長と一緒にいたのは誰だか知らないおじさんだった。
「えー、こちら我が艦のウェルズ大尉。こちらは太平洋艦隊総司令官ニミッツ大将。」
艦長が柄にも無く相互の仲介役になっている。って、総司令官!?
「キミがウェルズ大尉か、よろしく。」
ニミッツはニコニコ笑いながら握手を求めてくる。何?私これから何されるの?
「あれ?緊張してる?まあいいや、本題に入るよ。・・・先日扶桑から、パシフィス―扶桑間の航路の安全確保のために、新部隊結成の協力要請があった。」
ああ、なるほど、私にその部隊に参加しろってことね。・・・でもなぜ総司令官殿が出てくるの?
「その要請を我が軍は受けることとして、大統領の許可も得た。提供艦の選定も決まり、後はウィッチだが、キミはどうかね?」
やっぱり。もちろん受ける。だって総司令官殿に、どうかね?なんて言われたら断りようもない。まさか、それを狙って?
「は、はい。受けさせていただきます。」
「そうか、ありがとう。・・・ああ、言い忘れていたが、キミが戦闘部隊の指揮官だそうだから、頑張ってくれ。それと、変更はできないからな。ハッハッハ!」
ニミッツは私の両肩を満面の笑みで叩く。やっぱりその手だったか。
「あ、はい。」
ステラはガックリと肩を落としていた。
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