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西暦1943年5月10日。後の世に語られることのない新部隊、第51統合戦闘飛行隊が結成された。
「海軍から飯田藤花、階級は上等飛行兵曹。搭乗機は零式艦上戦闘脚五二型のプロトタイプ。ブリタニアから亡命ガリア人ウィッチの・・・。」
「ああ、もういい。自分で見る。」
書類の山に埋もれ、少将の階級章を付けた何者かが、まだ少年と見える一等飛行兵曹から書類を奪い取る。
「えーと、まだ二人目ですが?」
「作者が書きたくないらしい。」
「へ?」
一飛曹は頭に疑問符を大量に浮かべる。まあこの人は時々意味不明なことを喋るから、と一飛曹は自己完結した。もう5年の付き合いになるか。
「それにしてもまだ5月だというのに、蒸し暑いな。」
少将は制帽を取る。現れたのはまだ幼さの残る、中性的な顔立ちの少年だった。
「そりゃそうですよ。今は雨季ですからね。」
「なあ隆、厨房でかき氷作って持ってきてくんない?」
隆と呼ばれた一飛曹は苦笑いを浮かべつつ断る。
「ハハ、ダメですよ。扶桑以外の水は煮沸しても危ないんですよ。」
「ちぇっ。じゃあこのマレー半島名物のマンゴスチンでも・・・。」
「とと、とんでもない!そんな高いもの、買えるわけないじゃないですか!」
少将の無理難題に隆は困惑する。そんな中、誰かがドアをノックした。
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