歯笛のいろ

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        零レル 梅雨が明ける日の 朝霧に煙るM湖の畔で 逢い引きする二人 桟橋に古びた一艘のカヌー ボディーはメイプルの樹でできてる 静かに慌てて飛び乗ったら ハンドバックから李が幾つか 足許に転げ落ちる 普段よりキツく入れた アイラインが暗示する 虚無の世界への鍵の在処 思い詰めた仕草に宿る 極上の色香と引き換えにして 君から 両の掌で僕の頬を覆う 加えたままの煙草から零れる灰 ロープを離したら誰も知らない とっておきの話をしてあげる。
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