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  『チビタ』か、懐かしいな。 チビタのことを考えると、別れた日の事を思い出して辛くなるから。 出来るだけ、考えないようにしていたんだ。その内、思い出すこともなくなってしまって。 10年も前のことを急に思い出したのは、お酒を飲み過ぎた所為なのかもしれない。     「チビタ」と呼ぶと、クゥンクゥンと可愛く鳴いて、わたしに擦り寄ってくる黒い毛の可愛い子犬。 それが、チビタ。わたしの大切な唯一の友達だった。 性格が内向的だったわけじゃない。 転勤族だった父さんについて転校を繰り返すうちに、わたしは友達を作るのが苦痛になっていった。
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