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「涼の、バカっ」
「ごめん、ごめん。機嫌直して?」
「『ごめん』は一回でいいの!」
軽く涼を睨んで、プイッとソッポを向くと
涼は「怜奈ちゃん、ごめんね?」と言って、わたしの手を握り直した。
「早く怜奈ちゃんの家に帰ろう」
優しくて温かい涼の手に再び包まれる。
その温度が心地良くて。
わたしは黙って涼に着いて歩いていく。
帰る場所は同じ。それが、どうしようもなく嬉しくて。
歩幅を合わせて歩いてくれる涼に寄り添うように。
わたしは繋いだ手にギュッと力を込めた。
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