8.

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   ふと、振り返って、涼の黒い瞳を見詰める。 黒い瞳と愛嬌のある笑顔や雰囲気、そのすべてが、懐かしくてとても愛おしいものに思える。 あのチビタが人間になって、わたしの前に現れるなんて……。 全部、夢じゃないよね? 目が醒めたら、ベッドに一人きりだったりしないよね? 「大丈夫だよ。俺はどこにも行かないから。ずっとずっと、怜奈ちゃんの傍にいる」 「約束だからね?」 「うん」 「絶対?」 「うん。だから安心して?」 「涼っ」 突然抱きついたわたしに、涼は驚いて目を見開いた。 「怜奈ちゃんは、泣き虫だよね」 宥めるように涼はわたしの頭を優しく撫でる。 その涼の胸に、ギュッと顔を押し付けた。 涼の鼓動が聞こえる。 ほら、大丈夫。 これは、夢なんかじゃない。
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