第二章 宇宙からの襲来

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 事件から六カ月が経った。エルゼとラーニアは、体の他の部分は順調に回復し、互いの体をチューブで繋がれて離れられないという不自由な状況でも、その年頃の子どもらしく日増しに仲良くなっていった。  常盤美奈は自ら志願して二人の経過観察を行った。自衛隊の医官とは言え、医者のはしくれである彼女には純粋に研究者としての関心があったからだ。彼女たちの体から伸びるチューブを間でつなぎ血液、体液の循環を助けているポンプもより小型の物に交換され、その装置を車輪付きの台座に乗せれば彼女たちがベッドから降りて、短時間なら病院の中を歩行出来るまでになっていた。  二人は四六時中一緒にいるので、エルゼはラーニアのアラビア語を、ラーニアはエルゼのヘブライ語を少しずつ覚え始めていた。5歳の子供の語彙ではしょせん限られているとは言え、簡単な意思疎通には不自由しないまでになっていた。  だが、ある夜、けたたましいナースコールのブザーの音で美奈と宿直の看護師たちはつかの間の静寂を破られ、エルゼとラーニアの病室へ駆けつけた。美奈たちがドアを開けると、二人の少女は恐怖に怯えた顔で狂ったように何かを宙に向けて訴えていた。  美奈が真っ先に心配したのは彼女たちの内蔵につながっているチューブが外れた事だったが、それは大丈夫だった。何らかのショック症状かとも思ったが、美奈が見る限り純粋に精神的、心理的なショックのようだった。美奈は万一にもチューブが外れたり傷がつかないように看護師たちに二人の体を押さえさせ、彼女たちの声に耳を澄ます。
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