レナの憂鬱、晴れず

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「クソッ!無事じゃないわよ!!・・・痛ひ・・・」 ギルガメッシュの酒場で、レナは愚痴りながらチビチビと安酒をあおっていた。 右腕はグルグルに包帯が巻いてある。雑な巻き方からして自分で巻いたようだ。 「痛いし儲からないし、最低よ最低!!」 ドン!とジョッキを机に叩きつけるように置くと、また傷に響いたらしく泣きそうな顔になって机に突っ伏した。 酒場の看板娘でもあるマリーが、 「アハハ!痛いならやめれば良いのに。だめですよぉ。そんなことしちゃ♪」 「うるさい!!酒の追加をもってきなさいアンタは!」 そんなやり取りをしてマリーは「べーっ」っと舌を出して厨房に向かう。 「・・・はぁ、今日に限って酒場にプリーストいないし。誰か一人ぐらいいるだろうと思ったのに・・・。ヒールが欲しい・・・」 大きなため息をつくと、もうほとんど残ってない酒を一気にあおった。 冒険者風の男が横に座り、レナに声をかける。 「レナちゃん、まあクエストの報酬は手に入ったんだろ?良かったじゃねーか」 さりげなくファイターにしては華奢に見えるレナの肩に手をかけるが、パチンと左手でそれを叩き、 「さらっと触るな。お金取るわよ!・・・報酬もらうまでが、めんどくさかったのよ!クソッ、ビートルの死骸を処理できてたら簡単に報告できたのに。」 その台詞に男は手をさすりながら、 「ああ、証拠品持って来れなかったのか。」 クエストの報告は通常、討伐対象の一部を切り取って持ってくることで証明する。 例えばビートルならば脚など、それが盗賊などは耳を切り取って持ってくるなどでだ。 しかし討伐数が多い場合や、今回のように事情があって証明するものを持ってこられなかった場合はどうするのか。 実は方法がある。イシークの巫女に依頼をするのだ。 イシークの巫女は『アカシックレコード』と呼ばれる過去・現在の全ての記録を呼び出すことが出来る。 イシークの巫女にアカシックレコードの開示を冒険者ギルドにしてもらえば、討伐したかどうか100%証明する事が可能なのだ。 しかし、本来アカシックレコードは本人以外に開示される事はない。
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