レナの憂鬱、晴れず

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そのため、「私は今日、ビートルを10匹倒しました」、それに対してイシークの巫女が「間違いありません」といった非常に回りくどい確認方法で冒険者ギルドの職員に報告しなくてはならない。 それに、イシークの巫女は人数も限られるためにクエストの報告が集中する時などは後日に回されることもしばしばなのだ。 「今回はなんとか今日中の報告ができたけど・・・。あとイシークの巫女にアカシックレコードを覗かれると、自分の全部が見られてる感覚がしてイヤなのよね・・・」 グラスに口をつけて中身が無い事に気付き、さらに不機嫌な様子になってグラスを置いて頬を付いた。 そんなギルガメッシュの酒場に似つかわしくない客が、小汚い扉を開けて入ってきた。 「あ、馬鹿ファイター」 「あ、ボンクラ魔法使い」 入ってきた青年は、レナと目を合わせた途端にそう言い合った後、にらみ合いながら席についた。 男女共に見とれてしまうような綺麗に整った顔立ち、恐らく手入れを怠っていないであろう銀髪は後ろに留めてまとめている。 恐らく彼を見た者は冒険者ではなく、エルフの貴族というであろう。そんな風貌であった。 しかし、そのエルフは異質で相容れない存在のようにも思えるレナと、どうやら顔なじみのようだった。 「ボンクラ魔法使い、久しく見てないと思ったけどどこ行ってたのよ?」 おおよそ穏やかとは思えない口ぶりに青年も、 「レナみたいな日も高いうちから酒を飲むようなぐーたらじゃないからね。僕は仕事をしてたんだよ仕事を!」 そしてまたにらみ合う。 その空気を壊したのは、実はずっとエルフの青年の足元にいた少女(?)だった。 「二人ともケンカはやめるですよぉ。久しぶりに一緒になったんだからぁ」 ヒューマンの体格に合わせて作られた椅子によじ登りながら、そう言って一息つく彼女。 パッと見は栗色の巻き髪が愛らしい、小さな子供のようであった。
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