レナの憂鬱、晴れず

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彼女はポークル族と呼ばれる種族で、エルフやヒューマンなどと比べると大人になっても3分の1ほどの身長にしかならない為、そもそもが若く見られがちだが彼女は特にその動きの一つ一つがより幼さを強調させていた。 「なんだ、パメイもいたの。アレンのボンクラと一緒に仕事してたから最近見かけなかったのね。」 その言葉にアレンと呼ばれた青年がまた反応する。 「ボンクラボンクラうるさいよ!話には聞いてるんだぞ。スクルージビートルで得たお金、全部使い果たしたって話・・・」 「ええい!その話にもう触れるんじゃない!もう忘れたい記憶の一つなのよ!!」 「だから~、久々なんだからなかよくするです~~~!」 もう、何がなんだか分からない会話の交差がされていると厨房からマスターの声が響き渡る。 「うるせぇ!!ケンカなら外でやれ!!!」 それでとりあえず3人は黙って、互いに(主にレナとアレンだが)一瞬にらみ合うと厨房に向かって、 「注文の酒!まだなの!?」 「ワイン、早く持ってきて!」 「オレンジジュース飲みたいですぅ~」 その様子を見ていた客の一人がボソッと呟いた。 「相変わらずだな、この3人組・・・」 「ふんふ~ん、オレンジ~ジュ~ス~おいちい~なぁ~♪」 ぷっくりとした頬を紅潮させながらジュースを飲むパメイ。その横で不機嫌な様子で酒を飲むレナとアレン。 ちなみにカリグラーゼで傷を受けた右腕はパメイのヒールで既に痕一つない。彼女は『落ち着いて』いれば優秀なプリーストであり、レナは包帯を外して自由になった腕を動かして感覚を確かめていた。 「・・・で、アレンたちはどこ行ってたのよ?」 不機嫌な様子は変わらないがアレンにそう問うと、彼もまだ不機嫌そうだったが、 「ディルティス大蔵室。測量隊の警護で行ってたんだよ。」 と、言葉を返す。
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