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それに驚いた表情でレナが、
「え・・・ディルティス?あんたが!?」
と、思わず口に出してしまう。
ディルティス大蔵室といえば、屈強な盗賊団やそれの雇った魔法使いなどが住み着き、入ったものの犠牲報告もかなり挙がっている場所である。
「まあ、僕ほどのメイジともなるとカリグラーゼで虫狩るだけじゃなくて警護の依頼も入ってきてしまうんだよね~」
レナの様子に気分をよくしたのか、自慢げに語るアレン。しかし、それを速攻でぶち壊す者が一人。
「えへへ、レナ~。パメイたちが難しい依頼を頼まれるわけないですよ~。入り口を再び何かに活用できないかって人たちの警護で、すぐ近くに衛兵さんたちもいたです。パメイたちは夜とかに盗人がこないかどうか見守るだけだったんですよ~」
ジト目で見るレナに、バツが悪そうな表情でアレンはワインを一口飲んで沈黙でこの場を切り抜けようとしていた・・・が、それで切り抜けられない雰囲気を察し、
「ま、まああれだよ。レナ、懐が寂しいんだろ?なんだったら僕がクエスト手伝ってあげてもいいよ」
あくまで上から目線に少しイラッとしたが、
「アレンはともかく、パメイに手伝ってもらえるならカオカぐらい行けるかしら・・・。よし決めた!明日はカオカへ行こう!」
「わーい!レナと冒険だ~!楽しいな♪楽しいな♪」
「アレンはともかくってなんだよ!しかも勝手にカオカ行くって決めるなよ!!」
「あんたの意見は聞いてない!しかも今、手伝うって自分で言ったじゃない!明日はカオカに決定!今日は前祝いってことで飲むわよー!」
そう言うと、勢いよくグラスを口元で傾けた。
「だから・・・僕は行かな・・・!!」
「わー・・・♪楽しみで・・・」
外からでも喧騒が聞こえてくるギルガメッシュの酒場。その漏れ出た光の影に、異質な空気を纏わせた男がいた。
日が落ちようとしているその中で、彼の周りだけはすでに真夜中の気配のような不可思議な感覚を憶えさせる。
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