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「カノンちゃん! 君もやっぱり召集?」
「あ、朔…」
部屋を出て目的地へ向かう途中、見知った青年に後ろから声をかけられる。黒髪に、茜がかった瞳の青年の名前は、朔(さく)。彼も同じく、エクテニア教団極東戦線に在する団員であり、先日、ドイツへ極秘作戦に共に赴いた仲間でもある。二人は自然と並び歩く。おそらく、朔も同じく召集を受けているのだろう。
「先日の作戦……どうして、私が抜擢されたんでしょう?」
廊下を歩きながら、彼女は隣を歩く朔に対し、知らず呟くように問いかけていた。
「さぁ? 真実は隊長にしか解んないけどさ、カノンちゃんはもっと自信持ちなよ」
「……でも」
教団に属するメンバーには、皆何かしら超常の能力を持っている。それは精密射撃や剣術から――通常人ならば持つべくもない、魔法や超能力のようなものまで、多岐に渡る。
カノンも例外なく超常の能力を持っていたが、それは余りに役に立つとは言えないようなものだった。
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