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――廃墟と化した、とある地下施設
そこを駆ける人影がいた。
闇に紛れる黒い外套を纏った数人の集団が、廃墟の階段を地下へと駆けていた。
「……本当に此処にあるのでしょうか」
そう呟いたのは、幾分幼さの残る長い黒髪に黒い瞳の少女。外套の首もとを抑えて、不安げな眼差しで暗闇の先を見つめている。
「まぁ、あるにしろないにしろ、さっさと此処から出れるのが一番だよ」
「……あぁ、此処は危険だ。嗅ぎつけられないうちに、目的物を見つけて帰還しよう」
少女の横を駆ける黒髪の少年がそう言い、其れを受けて一番先頭を駆けていたブロンドの青年も口を開く。彼らは、あるとも知れぬものを求めて、この廃墟を訪れていた。
(――私達の、切り札……)
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