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見れば、ブロンドの青年が、銃口を向けていた。発砲先を見れば、白い人影のようなものが、今まさに霧となり空中に消えていくところだった。
「おそらく、三色が仕掛けた監視用のミラージュだ。
……感づかれてないと良いが」
「ふぃー、びっくりしたなぁ……カノン、立てる?」
「あ、はい」
ブロンドの青年は、危険が無いと判断したのか、二人に合図を送り、それを受けて、黒髪の少女と青年は身を起こす。
監視が居た、ということは、此処がドイツ戦線拠点の最下部ということなのだろう。
重厚な扉の先には、廃墟と化した小さな部屋があった。ブロンドの青年は、迷うことなく、その部屋の壁の一角へと向かう。
「……ここだ」
青年が何か操作をすると、重厚な音と共に、何重にも隠されたコンソールが姿を現す。何もかもが死に絶えたような廃墟の中で、そのコンソールだけが青白く光を放っていた。
「独立式プログラムが生きてる……よし、大丈夫」
青年が手慣れた手つきでキーを打ち込むと、壁と思われていた場所に亀裂が走った。
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