201号室 現代のシンデレラ

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  「本当に、荷物少ねーなぁ……」 弟の、皇汰(コウタ)は、私の荷物が入った段ボールを持ちながら、呆れている。 「だって、……勉強しかしてこなかったんだもん」 ぐすん、と涙ぐみながら、荷物を解いていく。 段ボール5箱ですむ私の引っ越しは、弟さえいれば充分だった。 「本当に、ジジイどこ行ったんだよ。ジジイのせいで、姉ちゃん、追い出されちまったのに」 軍手を外して、ぺいっと床に投げつけた皇汰は、イライラしながら文句を言う。 「しょうがないよ。すべり止めしか受からなかった私が悪いんだもん……」 へなへなと座り込みながら、3週間前のお父さんの表情を思い出す。 『T大もK大も、落ちたのか……?』 失望して、ズルッと眼鏡を斜めに歪ませたお父さんは、励ましも、激怒もしなかった。 そして、1週間後、海外出張の希望を出し、それから連絡がとれなくなった。 それをお義母さんは、ウキウキとあからさまに喜んだ。 『私が根性を叩き直してあげる』 そう言って、ボロボロのこの鉄筋コンクリートのアパートに引っ越すように命令された。
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