201号室 現代のシンデレラ

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「荷物整理終わったら、挨拶行くぞ」 皇汰が、挨拶用に用意したお菓子をテキパキと準備し始めた。 「まって! まって! アルジャーノンを窓辺に移すから」 急いで愛しのアルジャーノンを窓辺に置くと、段ボールに躓きながら皇汰へ駆け寄る。 「……アルジャーノンねぇ」 「私に似てるでしょ? 」 へへっと笑うが、皇汰はムスッとする。 「姉ちゃんの方が可愛いよ」 そう言って、私にお菓子を押し付けた。 今も、昔も、皇汰だけは優しくて可愛い。 皇汰にどれだけ救われたか。 「しっかし、ボロボロの鉄筋コンクリートのくせに床はフローリングとかめっちゃ変だよなー」 カンカン響く階段を降りながら、皇汰は文句を言う。 庭は雑草でぼうぼうで、 『花忘荘(はなわすれそう)』と書かれた壁は草や木のツルで、隠れている。 大学からは徒歩10分だし、お風呂もトイレもついている、六畳の一人部屋はなかなか良い物件だとは思う。 ……高級マンションの隣で、常に日陰のせいか薄暗く、ボロボロの外見以外は。 本当に、お化けが出そうにボロい。文句は言えないんだけどね。 築60年の外見は恐ろしい。 「まずは、管理人さんだよな」 弟が足を止めたのは、 『101号室』。 中からは、カレーの良い匂いがしていた。
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