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「ああ。面白いからな。…好きと言えばその歌は、ムーサの歌だったな」
彼はいきなり話題を変えてきた。
「…そうでしたね。私、ムーサさんのこの歌が一番好きなんです」
美桜はムーサの話をし出すと悲しい表情をした。その理由は、ムーサが二年前に亡くした美桜の姉だからだ。
その理由は親と幼なじみしか知らない。
「ほう?好きなのに、そんな顔をするんだな。…それも秘密なんだろ?」
美桜は頷いた。
「…今、会ったばかりで変なことを言うが、いつかその理由教えてくれよ?」
今度は美桜を慰めるように頭を優しく撫でた。
「じゃ、待たな」
彼はそう言って屋上からいなくなった。
「…変な人」
美桜は彼に初めて会うのにあんなに親しくしてくるのが不思議に思えた。
それに何年生かも教えてくれなく、名前も教えてくれなかった。
明日とはなんだろうという謎も美桜の頭でいっぱいだった。
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