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それは無理もない。一度も人が自分が歌っているときに現れることが無かったからだ。
するとずっと黙っていた男子生徒が口を開き、とんでもない言葉を言った。
「…好き」
その声は色っぽい。
「…はい。この歌って結構人気があるんですよね」
普通はここで好きと言われて自分の事だと思うが、彼女は天然だった。
「…お前って鈍感」
彼は告白されて驚く顔が見たかったのか、少しガッカリした顔をした。
「…鈍感じゃないと思いますけど」
彼女は頬を膨らませて怒った。
「くくっ…!」
彼は彼女の怒った顔を見て笑った。
「む…。どこが面白いんですか?」
「くくっ…。いや、なんでもない」
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