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カフェオレを飲み終わると時刻は九時。お弁当とレジャーシートとおしぼりとお茶とこの日のために準備した細長いリボン付の箱を、トートバッグに詰めて外から家に鍵をかけて出かけた。 大くんは大学に受かったら公園でデートと言った。 落ちたらの話はしなかったから、その時はどうなるのかわからない。 落ちたらなんて聞けなかった。 きっと受かってる。大くんはきっと来る。そう思いながらバスに乗った。 不思議と不安は無かった。 十分前に公園の門の前に着いて入り口のベンチに座って大くんの来るのを待った。 日曜日とあって、家族連れやカップルやトレーニングウェアを着ている人などが、公園に吸い込まれるように入っていく。 朝は空気がヒンヤリしてるけど、柔らかい日差しを浴びていると体がポカポカし始める。 携帯を見ると、デジタルがちょうど十時を示してる。 忘れてないよね?少し心配になってくる。 もしかして…いやそんなことはない。二人で暮らす為に頑張ってくれていたんだから…。 悲しげな顔で試験が終わるまでイチャイチャするの止める。と宣言してから、大くんは塾で顔を会わせても軽く手をあげるだけで近づくことは無かった。 自制して頑張ってくれていた。 きっと大丈夫。
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