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母さん…
私、大くんにいっぱい愛されてるよ。
人を愛し、その人に愛されるってスゴく幸せなんだね。
嬉しくて胸に抱かれながら、思わず母に報告した。
ふと涙に濡れた顔を上げて空を見ると、空は春霞でボンヤリとした薄い水色だ。
その中に一瞬微笑みかける母が見えたような気がした。
まるで良かったねと言ってるような母の顔。
母さん、喜んでくれてるんだね…
空を見ている私に気付いた大くんが、不思議そうに私を見る。
「何を見てるの?」
「今、一瞬母さんが見えた気がしたの。
母さん笑ってた。」
大くんが優しく微笑んだ。
「きっと喜んでくれてるんだね。」
「うん。」
大くんは優しく唇で涙を掬い取り、最後に私の唇を塞いだ。
誓いのキスは少しショッパかった。
長い長い優しいキス…
名残惜しく唇が離れて、見つめ合う。
「あとで渡そうと思ってたけど、これ。合格祝いのプレゼント、気に入って貰えるといいんだけど…。」
トートバックに入れてた細長の箱を大くんに手渡した。
リボンの付いた包装紙を丁寧に剥がして箱を取り出し開けた。
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