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「わっ、おしゃれー。」
ダークブラウンのベルトの丸い文字盤の腕時計。
お小遣い貰ってもあまり使ってなくて結構貯まっていたから、アルバイトもしてない私にしてはいいものを買えたと思う。
シンプルだけど大人の雰囲気の時計だ。店員さんに価格とこんな人だと言うことを話してアドバイスを受けながら決めた。
「ありがとう。気に入ったよ。
いつもつけてるから。これがあれば優菜にそばにいてもらってる気分になれる。」
「私、絶対頑張って大くんの側に行く。
指輪見ながら頑張る。」
「ちょっと貸して。」
ジュエリーボックスからチェーンを取り出し指から抜き取った指輪を通した。
「こうすれば学校でも付けてられる。でも今は…」
チェーンから指輪を外してまた左手薬指に嵌めてくれた。
頷きながら薬指の指輪を眺めていると、大くんがもうすぐいなくなる淋しさががジワジワとわいてくる。
体を寄せあって公園内を散歩する。幸せで幸せで泣けてきそうだ。
今は大くんが側にいる。二人でいるこの時間は、きっと離れている間の心の支えになる。
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